内定は「あなたを採用します」という採用通知とほぼ同じです。
ただ、企業がその内定を出した後に抱く一抹の不安は「内定辞退者が出ないか」ではないでしょうか。
しかし、不安なのは内定者も同じです。
「内定が決まったのだから入社までとにかく自由に過ごそう」と考えている学生はほとんどいません。
「本当に歓迎されているのか」「自分の選択は正しかったのか」「この会社で活躍できるのか」「仕事ができるようになるのか」などなど。
学生の場合、社会人経験がありませんので、4月の正式採用までの期間に様々な思いを抱きます。
ので、内定者フォローが重要になってくる訳です。
とりわけ、その入り口となる内定通知はとても重要な意味を持ちます。
今回は内定の出し方から内定者フォローを考えてみたいと思います。
電話やメールだけで済ませない
多くの企業が内定決定を電話やメールで伝え、後日、内定通知書、内定承諾書等の書面を郵送していると思います。
この進め方は間違いではありませんし、多くの学生を採用する大企業などは効率を考えれば当然の方法だと思います。
ただ、内定者は「内定が決まってうれしい!」という反面、「自分のどこが評価されて内定に結びついたのか」「どんなことを期待されているのか」といった思いがあります。
そうした学生の思いに応えるためには内定者を会社に呼んで対面で内定を通知するというのが良い方法の一つだと思います。
面接時の話などを振り返りながら「どういう理由で君を自社に迎えたいと思ったか」など、評価した点やこれから期待している点などを話すことで、学生は安心し、やる気が高まり、結果、入社意識を高めることに繋がります。
また直接会って話をすることは採用する側にもメリットがあります。
それは自社の内定に対する内定者の気持ちの温度感が把握出来ることです。
内定をもらってもまだ気持ちが揺れている、迷っている内定者もたくさんいます。
そうした内定者の気持ちを内定を出した瞬間に把握することが出来れば、その後の内定者フォローの仕方の大きな参考になります。
こうしたことは電話やメールではわかりません。
学生を感動させ、気持ちを高めると同時に、現時点での学生の素直な気持ちを掴むためにも直接会って内定通知書を渡す方法は手間暇はかかるものの、とても効果的です。
内定辞退の理由はフェーズによって違う
内定辞退者が出て困っているという相談を受けることも少なくありませんが、内定辞退と一口に言ってもそのフェーズによって意味合いが違ってきます。
内定辞退は大きく2つのフェーズに分けられます。
1つは内定を通知してから内定承諾書を提出するまでの期間の辞退、もう1つは内定承諾書を提出した後での辞退です。
まず、内定承諾書を提出するまでの期間の辞退は「本当にこの会社で良いのか」「他にもっといい会社があるのではないか」という気持ちが大きな理由と考えられます。
こうした学生の多くは会社の事業内容や仕事内容よりも風土や雰囲気、先輩や同僚などといった点に不安を感じていることが多いため、親御さん向けや先生向けの挨拶状を送付したり、社員の寄せ書きやクリスマスカード等を送付するなど、安心と感動を与えるフォローが大事になってきます。
また、内定者間でのSNSの活用や人事のメルマガ等を定期配信し、一緒に入社する内定者との関係を強くしていくことで、同期意識を醸成することが不安解消に繋がっていきます。
2つ目の内定承諾書提出後の辞退の場合は会社の事業や仕事内容に対する不安が理由の場合が多いため、内定者研修などを行って会社や仕事への理解を深めたり、社内報などがあれば定期送付する等、企業理解を促進していくとともにしっかりと育てていく環境があるので心配ないということを理解させていくことが重要なポイントとなります。
内定者の気持ちは自身のいるフェーズによって変化していきますので、フェーズに合わせた適切な内定者フォローをしていくことが大切なのです。
内定者の個々の性格を見極めたフォローを
フェーズによる内定者の気持ちの変化に対応したフォローだけでなく、内定者の個々の性格を見極めたフォローも重要です。
内定者フォロー研修の一環として内定者に名刺を持たせて営業同行させるという企業もあります。
「早く仕事を覚えて欲しい」「それだけ期待値が高い人材」といったことを肌で感じてもらうという意味では良い方法ですし、やる気満々の例えば、体育会系タイプには合っている方法かもしれませんが、しかし、物事を一歩引いて見るタイプや今どきの草食系タイプには逆効果になる可能性が大きいと思います。
内定者の個々の性格を見極めるのはなかなか難しいことです。
そうした内定者の性格や個性、気持ちの変化を把握するために内定者を活用するという方法があります。
内定者の中でみんなをまとめているリーダー的なタイプの内定者を通して、その内定者から見た他の内定者の様子を聞いてみるのです。
同世代であり、内定者(同期)意識を持った仲間同士ということもあり、お互いの理解度が想像以上に深く今までとは違った面に気づかされることも多々あるはずです。
内定者のことは内定者が一番良く知っているものです。
もし内定者の中にモチベーションが下がって辞退を考えている学生がいた場合には入社意識をしっかりと持ったリーダー的な内定者に話をしてもらって説得するという方法もあります。
新卒採用の場合、採用通知の意味合いを持つ、内定出しから正式入社までの期間が結構長い期間になります。
無事に内定式、入社式を迎えるためには、その第一歩である内定出しから自社らしい工夫をし、フェーズと個々の性格に合わせたフォローをしていくことが重要です。
私も、内定者の個々の性格に配慮したOne to One内定者フォローを常に考え続け、ご提案し続けたいと思っています。
以上、何かのご参考になれば幸いです。