2019年がスタートし、2020年新卒採用を具体的に考え始める企業も多いと思います。
大手企業はすでに動き始めていますし、2018年に経団連が1dayインターンシップを認めた影響もあり、インターンシップで出会った優秀な人材を確保するための動きをする企業も増えています。
要するに20採用も今まで通り(今まで以上に?)厳しい環境にあることは間違いありません。
そうした現状を踏まえて、20採用を成功させるためのポイントについて考えてみたいと思います。
20採用も売り手市場
20採用を考える際、参考となるのが19採用の動向ですが、19年3月卒の大卒求人倍率は1.88倍で、前年から0.1ポイント上昇しています(リクルートワークスの大卒求人倍率調査)。
7年連続の上昇となり、相変わらずの売り手市場で、新卒採用を取り巻く環境は、「超厳しく、超難しい」状況が続いています。
1.88倍ならそんなに高い数字ではないと感じる人もいるかも知れません。
しかし、この数字はあくまで平均値であることを忘れてはいけません。
企業の従業員規模別で見てみると5000人以上の企業の平均は0.37倍、反対に300人未満の企業は9.91倍と過去最高を記録しています。
つまり、300人未満の企業の採用目標数の合計が1万人だとするとそこに実際に応募してくる学生は1000人しかいないのです。
逆に5000人以上の企業の採用目標数の合計1万人だとすると、そこに2万5000人もの学生が応募するという意味なのです。
業種別に見ると、流通業が12.57倍と前年の11.32倍より1.25ポイント上昇、建設業は9.55倍と前年の9.41倍から0.14ポイント上昇し、厳しさが増しています。
今後、学生の数が減少していきますので、この流れはさらに加速していくと予想されますし、どの企業も優秀な学生を採用したいと考えますから、取り合いになるのは必至です。
また、エントリーシートに担当者がすべて目を通すのではなく、AIを活用して、自社の採用にふさわしいキーワードの解析や、ビッグデータで自社に合っているかどうかの言語、行動解析していくHRテックも進んでいくと予想されます。
こうした中で、採用を成功させるためには、しっかりとした覚悟と体制が必要です。
トップが中心となって、全社で採用に関与していかないと採用はまったく上手くいかない時代に突入しているのです。
すでに4.7%の学生が内定を確保!?
就職情報会社のディスコが、20卒学生の2019年1月1日時点の内定率がすでに4.7%という調査結果を発表しました。
就職活動の前倒しが進んでいる状況です。
その大きな要因がインターンシップです。
インターンシップと選考との関係はより強まっているのは事実です。
学生への調査の結果では、就職活動を開始する時期によって4月末時点での内々定・内定保有率に4倍の開きがあることが確認できており、3月より前から動き出している学生への選考活動が3月4月で行われ、3月以降就職ナビサイトなどからエントリーのあった学生の選考を5月6月で行うという二段階の選考が大手企業では当たり前になってきています。
経団連が2021卒採用のスケジュールの見直しを進めていますが、その案の1つに「広報解禁と面接解禁を3月に一体化する」というものがあります。
しかし、2019卒の実績を見るとすでにそうなっている状況だと言えます。
20卒の採用スケジュールは従来通りで、21卒の採用スケジュールに関してはまだ決まっていませんが、経団連は抜本的な見直しをすると発表しています。
2020年の夏には東京オリンピック・パラリンピックが開催されるため、会場予約等、関東圏での新卒採用活動の実施に難しさがあります。
スケジュールの変更内容は未定ですが、何かしらのスケジュール変更があるのはほぼ確実と思われます。
大手企業の中には、21採用スケジュール変更を見据えて、20卒から取り組みを開始しているところもあります。
また、新卒通年採用の実施を予定している企業も27.8%(リクルートワークス調査)と増加傾向にあり、早期化はさらに進むと見られています。
やるべきことを確実に進めていくことが、採用成功への道
大手企業が早期化しているのであれば、そこと対抗するのを避けて大企業の採用が終わった後に、大企業から内定をもらえなかった学生をターゲットにしようと考えるトップもいますが、それは間違いです。
そのスタンスで採用していると優秀な学生の採用は難しいですし、近い将来は新卒学生の採用そのものが無理になってしまうかもしれません。
採用成功のポイントは、
・母集団(=会社説明会への参加者数)を増やす
・選考途中の離脱を減らす
・内定辞退を減らす
突き詰めれば、この3つしかありません。
この3つをやるべき時期に、採用への熱意と誠意をもって、きちんと行うことが大切なのです。
まずは、母集団(=会社説明会への参加者数)を増やす方法ですが、手っ取り早いのは、ナビ等の露出を増やすことです。
ただ、それなりにお金もかかります。
また、マルチメディア(多チャンネル)化も効果があると思います。
これは、母集団の中身を変えて、採りたい学生のみにリソースを集中させるもので、ダイレクトリクルーティングの手法です。
例えば、◯◯大学の理工系学部のみの会社説明会を行うなどです。
ただ、大手企業と比べて中堅中小企業は、あまりお金はかけられないというのが現状です。
お金がかからないものとしては、インターンシップなどで学生との早期接触をしていく手法があります。
大手企業もインターンシップを行っているから、みんなそっちに行くのでは?と考えがちですし、そうした動きは確かにあります。
しかし、私が採用をお手伝いしている中堅中小企業のインターンシップにも学生は参加していますし、多くの学生が興味関心を抱けば、中堅中小企業でもインターンシップに参加すると答えています。
会社説明会については、10名×10回を予定していたが1回の参加者が10名に満たないというのであれば、1回5名を20回行うなど、会社説明会の回数を増やすことで、母集団を増やしていくことが必要です。
また、OBOGや内定者の学校(研究室)を訪問して、教授やキャリアセンターの担当との繋がりを作っていくことも重要です。
なかなか大変ですが、それによって学校からの紹介でインターンシップ生を受け入れることができる可能性もあります。
さらには地方採用にも目を向けることも大切で、これからの時代は大きなポイントとなっていくと思います。
学生と会うためにやるべきことが多すぎると感じているトップもいるかと思います。
しかし、これくらい細かく対応していかないと、新卒学生を採用するのが難しい時代になっていることを肝に銘じて採用活動に臨んで欲しいと思います。
そして、出会った学生が選考途中で離脱したり、内定を出した後に辞退したりしないように、しっかりと対応していくことが、採用成功へのポイントになってきます。
その点については、またの機会にお話したいと思います。
以上、何かのご参考になれば幸いです。