「ブランディング」とは、自社の製品などの特徴や競合他社の製品との違いを明確に示すことで、自社や自社商品に対する顧客の興味関心を高め、顧客にとって価値のあるブランドに構築し、信頼関係を築き、深めていくことだと思います。
それに対して「採用ブランディング」とは『学生間で就職先として認知されること』と弊社では定義づけています。
CMなどをすれば、企業名や商品名は認知される可能性はありますが「採用ブランディング」のアップにはなかなか結びつきません。
今回は就職先として学生に認知され、その認知度を高めていくためにはどうすればいいのかについて考えたいと思います。
まずは学生の間で話題になること
中小企業のトップの方とお話をすると「当社は技術力には自信や誇りを持っているが、それをなかなか学生に認知させることが出来ない」といった悩みを聞くことが多くあります。
新卒採用において、学生間での認知度アップはとても重要なことです。
私がリクルートで営業をしていた頃も「就職人気企業ランキング」といったものがあり、ランキングの変動に一喜一憂する企業も多くありました。
当時は採用媒体への出稿量を増やすなど、就活生の目に触れる機会を増やして、認知度アップを図っていましたが、今やインターネットが当たり前となり、情報媒体のカタチが多様化している現代社会では単に学生の目に触れる機会を増やしても認知度アップはなかなか期待できません。
ではどうすればいいのでしょうか?
わかりやすい言葉を使えば、まずはとにかく『学生の間で話題になること』です。
極端な話をすると「当社は面接に来られた方にはすべて内定を出します」と言えば、学生の間では「何で?」となり、話題になると思います。
ただ、学生の疑問である「何で?」にしっかりと答えられる理由がなければ、単なる話題提供で終わってしまい、結果、就職先企業としては認知もされず、むしろイメージダウンに繋がってしまいます。
ので、学生がただ興味を持つだけではなく、『就職先企業として意識されるようになる』ことがとても重要だと思います。
学生の役に立ち、社会に貢献する
新卒採用活動はスケジュールや告知手法の変化はありますが、会社説明会、面接、内定といった活動の流れは昔と大きく変わりません。
そのためか、採用サイト運営会社などでは従来の選考手法に少しでも変化を持たせ、学生の興味を誘い、企業との出会いを演出する工夫をしてきています。
例えば、登録した企業と登録した学生に焼肉を食べながらの会社説明会や面接をする場を提供するといったものや、登録している学生に企業から直接オファーがくる「オファー型就活サイト」などが話題になっています。
これらは採用サイト運営会社が行っていることですが、自社独自でも学生の興味を引き、話題になるイベント等を企画、実施することで、学生間で話題を作り出し、少しでも就職先企業として意識してもらうことが可能です。
その際、重要になるのは当たり前の話ですが、企画そのものが学生の役に立つこと、社会貢献に結びついていること、そして何よりも自社の採用コンセプト、採用したい人材に結びついていることです。
例えば、技術系の企業であれば、学生にものづくりの場と機会を提供する「ものづくりコンテスト」や「プログラミングコンテスト」などを開催したり、将来の経営層候補として優秀な人材を採用したいということであれば、起業に興味がある学生の支援として「事業計画プレゼンテーション大会」を行ったりすることで、学生間で話題を作り出すといった手法が挙げられます。
長期計画で覚悟をもって取り組むことが重要
ただ、上述したようなイベントを実施しても「採用ブランディング」は結果がすぐに出るものではなく、数値等による結果検証も難しいといった側面があります。
また、学生の話題となるようなレベルのイベントをしっかりと実施するとなればそれなりの費用もかかってきます。
ので、「採用ブランディング」を確立させ、結果、採用へと結び付けていくためには、トップが中心となり、3年先、5年先を見据えた中期的視野で組織的に取り組んでいくこと、それが成功への鍵を握っていると思います。
事実、弊社のお客様でトップ以下、強い覚悟を持って、6年間にわたって取り組んでいただいた結果、自社が採用したいスペックを兼ね備えた学生の間でその社名を知らない学生はほぼいなくなったといった事例等、弊社には各種の事例があります。
1回実施して、手ごたえが無く、結果が出そうにも無いので止めるといったレベルの取り組み姿勢ではやるべきでは無いと思います。
弊社としては採用難である今だからこそ、中小企業の「採用ブランディング」の浸透・確立に力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
それが結果、コストを抑えた採用成功に繋がっていくと考えているためです。
以上、何かのご参考になれば幸いです。