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2015.06.29

「選考手法」に見る新卒採用の今昔

8月から大手企業の選考が開始されるのを前に中堅中小企業では今年も本格的な新卒採用の選考時期になりました。
毎年、企業はいかにして自社に合った優秀な人材を採用出来るかに頭を痛めています。

とはいえ、グループディスカッションやグループ面接、筆記試験、一次面接、二次面接、役員(最終)面接といったおおまかな選考の流れは、今も昔も大きく変わっていません。

将来一緒に働く仲間であり、新卒採用の場合、コミュニケーション能力の高さを判断することが何よりも重要となるので、これは仕方のないことかも知れません。

今回はその選考手法を通して、新卒採用の変化を見ていきたいと思います。

人となりを判断するための面接が選考の軸。

新卒採用の選考でほとんどの企業が行っているのが筆記試験と面接です。
中でも多くの企業で決め手となっているのは面接です。
(とは言っても、筆記試験で少なくとも企業が求める最低ラインはクリアしているという前提ですが)

企業が面接を重視するのは一緒に働く仲間となるのはもちろんのこと、自社を代表してお客さまと仕事をしていく可能性が高い人材だからです。

私が就職活動をしていた頃も、面接回数の多い企業がたくさんあり、面接重視の印象を受けました。
「自社の社風に合っているか」「自社の人間としてふさわしい立ち居振る舞いができるか」といった点を判断するためには、やはり実際に会って話すことが最適なんだろうと思います。
それはインターネットやメールなどのツールが進化した現在も同じです。

バブル期に登場した「一芸一能採用」

今から約30年前のバブル時代、景気のよさから多くの企業が新卒採用の人数を増やしていきました。
それによって、新卒学生の2人に1人が上場企業に就職したと言われるほどの異常な超売り手市場となり、中小企業は新卒学生を確保することがものすごく難しくなっていきました。

そうした環境の中で学生の負担を減らし、少しでも学生の応募を増やすために、面接回数を減らすといった策をとる企業も出てきました。
しかし、それだけでは手抜き感が出て、かつ、企業の学生迎合の姿勢が学生自身にも伝わってしまい、あまり効果がありませんでした。

そうした中で登場したのが、吉本興業の「一芸一能採用」に代表されるようなユニークな選考手法でした。
その他、面接を1回で済ませるために「社長一発面接」といった手法も登場しました。

こうしたユニーク選考は実際には前述したように学生の負担減が目的ですから、学生からするとあまり事前準備の必要がないことが特徴です。
普通とは変わった選考手法をとることで話題となり、注目されることで、応募する学生を増やして、なんとか採用へと結び付けようとする企業が増えましたが、それと同時に入社後のミスマッチも増えていきました。

会社、学生共、お互いをきちんと理解した上で入社するケースばかりではない為、入社1〜3年目の社員がその会社に見切りをつけるのが早くなってしまったのはある意味、当然のことかもしれません。
入社1〜3年目の社員からすれば、合わないからとすぐに辞めても、割と簡単に次の就職先が見つかりましたので。

逆もあり、入社したものの、会社のレベルについていけなくなり、辞めざるを得ない社員も出てきてしまいました。
こうしたことが入社後の離職率の悪化を招き、このバブル期の選考手法は企業の経営にとって大きな反省を促すこととなりました。

「就職氷河期」を経て変化する選考方法。

バブル崩壊後は景気が低迷し、新卒採用を中止する企業が出るなど、採用市場は一気に冷え込み「就職氷河期」を迎えます。
企業はバブル期の選考手法を見直し、大量採用から厳選採用へと大きく舵を切りました。
書類選考、適性テスト、小論文などで厳選した上に面接回数も増やし、かなり密度の濃い選考活動を実施するようになりました。
経営もとにかく数を採れ、から、数合わせはせず、質の高い学生のみを採るようにと、その方針を転換していきました。

しかし、バブル崩壊直後の1990年代に各社新卒採用を抑えていたことで、組織の人員の年齢構成が崩れてくるといったことが起こり、2006年あたりから新卒採用目標数が再び増加していきました。

そういった環境下でも企業は基本的には厳選採用の姿勢を崩していませんが、ここ最近では既存の選考方法とは違ったものを取り入れることで、様々な角度からの見極めを試み、多様な人材を採用していこうという流れに変わってきています。

Webクリエーター集団のカヤックでは、就活の無駄を省く新卒採用「節就宣言2013」のスローガンのもと、サイトで模擬試験を行い、合格の可能性を3段階で判定、学生に早い段階で判断材料を提供するようにしました。

またネット上でエンタテイメントコンテンツを提供する「ドワンゴ」では、本気な人だけ受験してもらいたいといった趣旨で選考を受ける際に学生から受験料を取ることにしました。

その他、エンジニア採用では「Webコードが書けるか」といったテストを行い、面接は無し、といった選考をしている企業もありました。

中には、バブル期の繰り返しと感じる安易な話題性を狙った選考方法もありますが、自社の企業理念や社風を前面に出したユニーク選考手法が増えてきているように感じます。

また、選考段階で実際に営業のアポ取り電話をさせて学生の反応を見るといった企業や、学生に新規事業企画を考えさせてプレゼンさせ、それに賞金を出したり、その新規事業企画を実際に自社でやらせるようないわゆる「ビジコン(ビジネスコンテスト)」を行い、そこから自社の採用に結びつけようとしている企業もあります。
ただ、こうしたビジコンに応募する学生はそういったコンテストの真の目的をわかった上で、したたかに振る舞うこともあるので、採用する企業側もある程度のしたたかさが必要となります。

一般企業だけでなく、昨今の公務員離れに危機感を持った地方自治体(柏市)が「市町村に対する熱い想い」をプレゼンさせ、選考するといったところも出てきました。

※参考(朝日新聞DIGITAL)
http://www.asahi.com/articles/ASH574QVQH57UDCB009.html

その他「ストレス耐性」や「ストーカーになる可能性」を判断するテストを導入するなど、現代社会の問題に即した試験を行う企業も増えてきたように思います。

昔から選考手法の基本部分は変わりませんが、最近は時代の流れや各社の状況に合わせたいろいろな選考方法が増えてきていると思います。
私もそうした変化に対応した選考方法を視野に入れつつ、企業、学生が納得のいく採用活動、就職活動が出来るような採用手法をご提案し続けていきたいと思っています。

以上、何かのご参考になれば幸いです。

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