企業が中途採用をする目的の一つは即戦力として活躍して欲しいためです。
しかし、最近、中途採用した人材がそこまで即戦力にならないといった声をしばしば耳にするようになりました。
ヘッドハンティングなどの引き抜き的な採用であればそうした問題は少なくなるとは思いますが。
しかし、最近の若年層の中途採用を見ていると以前と変わってきている気がします。
個人的な見解ですが、中途採用が新卒採用化しているように思います。
特に第二新卒採用はその傾向を強く感じます。
今回は「中途採用が新卒採用化してきた要因は何か」「そうした環境の中で中途採用者を即戦力として活かしていくには何が必要か」といった点を中心にお話したいと思います。
中途採用市場の現状
中途採用を行っている企業の経営者や人事担当者から「即戦力として期待していたのに・・・」といった声を聞くことがあります。
即戦力の意味は企業によって違うと思いますが、だいたいは入社後、すぐに成果を出す、出し始める人材というイメージを持っていると思います。
営業であれば入社後すぐに新規顧客を獲得して売上げを上げる、企画関連部門であれば、今まで自社には無かった新しい企画を立案・実践して利益に結びつけるといった感じでしょうか。
しかし、そうした優秀な人材を現在勤めている会社が簡単に手放すことはなく、中途採用市場にそうした優秀な人材ばかりがいるわけではありません。
どうしてもこうしたレベルの人材を採用したいのであれば、前述しましたヘッドハンティング会社でそういった人材を引き抜くといった方法もありますが、費用も高額ですし、口説くのに時間もかかりますので、ヘッドハンティングは自社にとって本当に効果的かをまずはじっくりと考える必要があります。
また、景気が若干不透明な様相を呈してきた中でも即戦力人材の採用として中途採用をする企業は多く、中途応募者一人が数社から内定を得ることも珍しくなくなってきています。
そうした環境の中、中途採用で獲得した人材を上手く活かすためには一昔前のように即戦力だからといきなりただ仕事を任せるだけでは高いパフォーマンスが出せなくなってきているように思います。
では、中途採用者に即戦力として活躍してもらうには何が必要なのでしょうか。
中途採用の新卒採用化
中途応募者が数社の企業を受け、複数企業から内定を得ることは珍しくないと前述しましたが、当然、それによって起こるのは内定辞退です。
ので、まずは新卒採用同様、中途採用も内定辞退防止策を講じる必要があるのです。
こうした点も私が新卒採用化していると感じる要因の一つです。
「新卒採用じゃないのに内定辞退防止対策だなんて、そうした手間をかけたくないから中途採用をしているのに・・・」とおっしゃる経営者もいるかと思いますが、その考え方は正直言って古いと思います。
どうしても採用したい人材であれば「入社前懇親会」などを行い、社員や経営者と飲む機会を設けるといったフォローをする必要も出てきています。
また「ゆとり世代」と一括りにするつもりはありませんが、最近の若年層は何事もまずは一旦教えてもらうといった受け身の姿勢の人が多いように思います。
ので、入社後に自社の商品知識など仕事を進めていくのに必要な知識を習得する研修の時間をちゃんと割いて、丁寧に教えていくことが求められています。
これも一昔前であれば「そんなものは仕事をしながら、自分で積極的に覚えていくのが当たり前だった」と言う人もいると思います。
しかし、中途採用と言えども最近は研修を行った後も最初の内は仕事を進めながら、周囲がフォローしていくことが重要になってきています。
中でも新卒で就職したけれど3年以内に退職してしまった層を指す「第二新卒採用」は新入社員研修を経験し、社会人としての基礎は一通り身に付いているかもしれませんが、仕事経験はほぼ新卒と一緒でまったく無い状態ですので、仕事を進めるための知識を早く得てもらうための丁寧なフォローが求められてきています。
第二新卒は中途採用と言うよりも、中途採用と新卒採用の中間といった意識をまずは「しっかりと」持つことが大事なのです。
スタート時のフォローと適度な期待
ここまで読まれた方の中には「中途採用は昔より面倒臭くなった」と感じる人もいるでしょう。
確かに以前より手間がかかるのは事実ですが、それは時代による中途採用マーケット環境や中途採用マーケットに出てくる人材の質の変化が理由であるように思います。
時代の変化に応じて、企業も変化していくのは当然です。
ただ、新卒採用と違って、そうは言っても中途採用者ですので、まがりなりにも前職の経験がありますし、社会人としての自覚と自負はあります。
それは第二新卒者も同じです。
もしかしたら、第二新卒者の方が新卒者よりも社会人経験で勝っているので、自分より年下の新卒者には負けたくないという気持ちは強いかもしれません。
要は、そうした気持ちをしっかりと理解した上でやる気を引き出していくことが大切なのです。
社会人としての自覚と自負があるので、新卒者と違って、スタート時にきちんとフォローすれば、その後は黙ってても自分から動いていくようになります。
繰り返しになりますが、第二新卒者は業務経験が少ないので過度な期待は禁物です。
「前社での○○の経験を活かして頑張って欲しい」といった感じで、最初は適度な期待を本人に意識させることで、やる気を引き出していくのです。
第二新卒に限らず、今どきの中途採用を成功させるポイントは、入社前と入社当初の適切なフォローと適度な期待感を持って育てていくことです。
その結果、高いパフォーマンスに繋がっていくと思います。
以上、何かのご参考になれば幸いです。