新卒(中途)採用で大切な役割を持つ面接。
自社に合った良い人材を採用するために多くの企業が面接マニュアルを作成したり、面接官トレーニングを行うなどして、面接のレベルアップに尽力しています。
しかし、中にはせっかく作成した面接マニュアルがきちんと活用されていないケースもあります。
またそうしたケースは中堅中小企業に多くみられるようです。
面接マニュアルをきちんと活用するためにはまず、面接マニュアルが持つ意味をしっかりと理解することが大切です。
今回は面接マニュアルについて考えていきたいと思います。
面接は会社と応募学生との考え方をすり合わせる場
採用活動において面接はとても重要な役割を担っています。
それだけに多くの企業が面接の質問項目や内容、面接官の人選などに注意を払っています。
私も多くの会社で、求める人材を採用するための想定質問や面接官トレーニングなどのお手伝いをしています。
面接は会社と応募学生との考え方の共通点や相違点などを確認することが大きな目的です。
面接には常識的な質問をして、その受け答えでマナーや社会常識など人としての基本を見るという試験的側面もあります。
しかし、それをクリアしたら、会社や仕事に対する考え方などをしっかり聞き出すことで、同じ方向を向かって頑張っていける仲間となりうる人材がどうかを見極めることが重要な判断ポイントになってきます。
そのため、アメリカをはじめ海外の企業は人事主導で面接を行っているところが多いようです。
それは、面接官によって応募者からの質問に対する回答が変わったり、一次面接、二次面接、最終面接と面接を重ねることで会社として言っていることが変わっていったりしないよう、応募学生への基本的な接し方にブレが生じることを防ぐためだと言われています。
一次面接の面接官と役員面接の面接官で応募学生から受ける印象に違いがあるのは人間ですから仕方のないことです。
しかし、応募学生に対する対応や応募学生からの質問に対する答えの内容が面接官によって大きな違いが出てしまっては、良い人材を採用することはできません。
そうしたことを防ぐために面接マニュアルを作成して、面接に関わる人全員で、面接に関する各種事項を共有することが大切なのです。
面接マニュアルの役割と意味
中堅中小企業のTOPや経営陣の中にはマニュアルという言葉を嫌う人も結構いるように思います。
自分たちは自分たちのやり方で会社を築いてきたという自負があるからだと思います。
またマニュアルがないと何もできない人やマニュアル通りの対応しかできないような人を「マニュアル人間」とマイナスイメージで呼ぶこともあり、そもそもマニュアルに対して良いイメージがないのかも知れません。
その考え方はわからなくもないですが、正しい認識とは言えません。
マニュアルは一つの事柄を標準化、体系化してまとめたもので、面接マニュアルは誰が面接をしても応募者との接し方に違いが起こらないようにするための指針となるものです。
まずは自社の欲しい人材はどういう人材かを今一度社内で確認して、その人材を採用するためには面接でどういった質問をしていけば良いかなどを考えて、想定問答集を作成していくことをお勧めします。
そして、その質問に対する答えのどういった点に注目して判断していくかという、採否の基準ポイントを面接官全員で共有していくことです。
いわば、自社の採用に対する『一貫した考え方』をまとめたものが、面接マニュアルなのです。
自社に合った面接を行うために
面接マニュアルの役割の一つは自社が求めている人材を面接官全員で共有することであり、そこに大きな意味があります。
しかし、私の経験からすると面接マニュアルを正しく活用できていないのは中堅中小企業のTOPや経営陣に多い気がします。
前述したように自分たちのやり方で会社を築いてきたということに自負があることも一つの要因だと思います。
そのためか、自分の直感やフィーリングで質問をし、判断してしまうケースが多くあるように思います。
また、最近では面接に関するマニュアル本も数多く市販されており、学生もそうした本を読んで準備をしてきています。
そうした学生の真の考えを知りたいがために突飛な質問や意味不明な質問をするといったケースもあります。
しかし、質問はしたものの、なぜ、その質問をしたのか、その質問によって何を判断しようとしたのかに対する明確な答えがなく、結果、双方にとって意味のない時間になってしまったりすることがあります。
面接マニュアルを作成する際にはマニュアル本を読んで、上辺ではそつなく対応している学生に対しては次にどんな質問をしていくかなども含めて、しっかりと想定問答集を作成していき、面接官全員で共有することが大切だと思います。
面接マニュアルをしっかりと活用する目的は面接に対する評価、判断基準を明確にすること、応募学生からの質問に対して答える面接官によって答える内容に違いが起きないようにし、会社としての一体感を応募学生に感じ取ってもらうためです。
自社に合った学生を採用するための自社オリジナルの面接スタイルを作り上げていくためにもTOPや経営陣を含めた全員で面接マニュアルを共有、活用することをお勧めします。
以上、何かのご参考になれば幸いです。