昨今は社会全体的に人手不足と言われており、中途採用市場も活況を呈しています。
パーソナルキャリア(旧インテリジェンス)が発表した9月の中途採用の求人倍率は2.36倍と相変わらず高い数値で推移しています。
景況感の高まりも踏まえ、企業の採用意欲は更に高まっており、今後も求人倍率は上昇すると見込まれています。
つまり、競争が激化し、優秀な人材の確保が難しい現状が一層加速するのです。
そうした中、注目されているのがリファラル採用です。
今回はリファラル採用について考えてみたいと思います。
リファラル採用とは
リファラル採用は社員の人脈で友人や以前の仕事仲間などに自社の採用情報を広めて、候補者を紹介してもらい、採用に結びつけていくといった手法です。
つまり、昔風に言ってしまえば社員紹介制度のことです。
社員紹介については数十年前からありますし、自慢ではありませんが、私は2013年くらいからその重要性を述べてきています。
これが英語になると新しい制度のように感じ、注目度が上がってしまうようです。(笑)
(参考: 中途採用=即戦力採用では無い)
ちなみに昔から欧米ではごく当たり前のように行われている採用方法です。
ただ、先述したように日本にも社員紹介制度は以前からありますので、皆さんの周りにも友人や以前の会社の先輩に誘われて興味を持ち、入社したという人が少なからずいるのではないでしょうか。
リファラル採用のメリットは紹介する社員が自社のことも、紹介する友人のことも知っているという点です。
自社が必要としている人材を理解した上で、会社の戦力となり得ると判断した人材を紹介するのですから、ミスマッチが少なく、結果、内定も出やすくなります。
(類は友を呼ぶ)
制度として定着させることが大切
リファラル採用の正式名称は社員リファラル制度と言われています。
これを人材採用の一つの制度として社内に定着させていくことが大切です。
まずは紹介した人材が採用となった場合、紹介者に報奨金を支払うことです。
それも昔風の社員紹介時のいわゆる「寸志」ではなく、それなりの金額を支払うことがポイントとなります。
経営者の中には社員が友人等を自社に紹介するのは自然なことで、それにわざわざ高額な報奨金など必要ないと言う方もいらっしゃいますが、優秀な人材を一人採用するために媒体やエージェントを使った場合の費用を考えれば、紹介した社員の貢献度をしっかりとお金という形で評価してあげるべきだと思います。
ただ、注意したいのは職業安定法の第40条の規定では労働者の募集を行う社員に報酬を与えることは原則として禁止されています。
しかし、賃金や給与として支払う場合は例外として認めるとも規定されています。
つまり、人材紹介という行為だけに対しての報酬ではなく、採用活動も社員の業務の一部と位置づけ、それに対する臨時給与と規定しておくこと等です。
そうした意味からも制度化する必要がある訳です。
(この辺は社労士ともよく相談しながら進めるべきだと思います)
またいきなり「採用したいから誰か友人を紹介してくれ」と言っても、紹介する方も紹介される方も気後れしてしまいます。
例えば、夜に懇親会というスタイルで(業界情報交換会&)立食パーティーを開いて、まずはそこに紹介者を呼んでもらい、情報交換や雑談をしていく中で、少しづつ自社に興味を持ってもらって、選考のステップに進めていく・・・そうしたことを少しずつ充実させていき、時には、リファラル採用キャンペーンといった社内キャンペーンなどを行い、採用に結びつけた紹介者を表彰したり等、社内の意識を徐々に高めながら、制度化していくことをお勧めしています。
こういったスタイルの場合、採用プロセスの進み具合に伴って、紹介者である社員と頻繁に連絡をとる必要が出てきてしまったりして、社員の本来の業務がおろそかになるのでは?と言う経営者や採用担当者もいます。
最近はそうした声に応えるかのように求人情報の社員への展開や社員から紹介者へのアプローチ、各社員の紹介状況を全社員に適宜共有したりといったことを一括して出来るサービスも出てきていますので、そういうものを活用することも一考すべきだと思います。
その他の中途採用サポート企業もリファラル採用を新しい採用手法と位置付けて、従来とは違ったサービスを展開していますので、自社に合ったサービスを検討・利用してみることをお勧めしていますし、上記を当社でコンサルティングさせていただくことも可能です。
自社の魅力を再確認する
ただ、リファラル採用で一番重要なのはそもそも社員が自社を友人や知人に紹介したいと思うかどうかです。
仮に一部上場の大手企業であれば、その点はあまり問題ないかもしれませんが、中小企業の場合はそうした点での相談を当社が受けるケースも多々あります。
また社員が紹介したとしても、自社の魅力がしっかりと伝わっていないと紹介された人の奥さんや家族から反対されて、その時点で終わりといったことも出てきます。
(参考: 内定辞退防止=「嫁ブロック」対策)
こうしたことを極力少なくしていくために社員全員で自社の魅力について今一度話合ってみるのも良いでしょう。
そうした話し合いの中で例えば、一つでいいので、何か新しい福利厚生制度を作ったほうがいい等の意見は可能な限り、取り入れたり、自社の魅力や会社の将来展望などを資料としてまとめて、全社員に共有すると言った工夫も必要かもしれません。
中堅中小企業の場合、エージェントを使ってもなかなか中途採用が上手くいかない会社が多いのが現状です。
また、ダイレクトリクルーティングもすべての会社に合う訳ではありません。
そうした厳しい中途採用環境の中で、リファラル採用を新しい採用手法として、立ち上げていくことは、ますます重要になっていくと思います。
以上、何かのご参考になれば幸いです。