9月も終盤となり2017採用も無事に終わって、後は内定式を待つばかりといった企業も多いと思います。
しかし、中には「秋採用」を行うので、まだ一息ついていられないといった企業もあると思います。
ただ、この「秋採用」ですが、時代の変化とともにその意味が変わってきていると思います。
「秋採用」は新卒採用の戦略としてどの程度の効果・成果があるのでしょうか。
今回は「秋採用」について考えてみたいと思います。
「秋採用」の目的とは?
秋採用という言葉を聞いたときに人によって受け取り方が違うのではないでしょうか。
昔の秋採用は、早期から実施してきた新卒採用の結果が思わしくないため、多くの企業が採用活動を終了する時期にまだ内定が出ていない学生や内定が出ていても志望業種と違うといった理由で就職活動を継続している学生に向けて採用活動をすることを意味していました。
確かに今でも新卒向けの就職サイトでは「まだ間に合う17卒採用」といった特集が組まれ、今でも就活を頑張っている学生を対象とした採用活動が行われています。
しかし、社会のグローバル化や好景気といった時代背景の下、1980年代後半から海外の大学へ進学する日本人留学生が増加し、その留学生達の中に個性的な学生が多くいたことから、留学生を採用したいといった企業が増えてきました。
その結果、海外留学生の卒業時期である9月に合わせて行う採用活動のことを秋採用と呼ぶようになりました。
この場合、前述したように自社の採用活動が上手くいかなかったから採用を継続するのではなく、当初から戦略的に留学生の採用を実施するため、あらかじめ留学生採用用の一定枠を残して、採用を行う企業がほとんどです。
16卒から新卒採用スケジュールが変更になったことはまだ記憶に新しいところですが、この採用スケジュール変更の理由の一つが留学生や帰国子女が日本に戻ってきた際に採用スケジュールに乗り遅れないように配慮したためと言われています。
選考開始時期をそれまでの4月から8月にすることで、日本の学生と留学生の採用を一緒に行い、留学生や帰国子女の不利な就活環境の改善を図るという目的があったのです。
薄れつつある「秋採用」といった言葉
留学生採用が採用スケジュールの変更理由の一つといった話をしましたが、さまざま方法を考え出して、留学生や日本の学生と早期接触をする企業があり、採用スケジュールの変更の効果はあまり出ていないのが実情といったところです。
いわゆるいつの時代も「青田買い」が行われているのです。
さらにもう一つ大きな要因としては「通年採用」があります。
「通年採用」は文字通り、一年を通して採用活動を行うことで、新卒学生や留学生、帰国子女はもちろんのこと、第二新卒といった既卒者なども含めた幅広い応募者の中から優秀な人材を採用していこうというものです。
「通年採用」はユニクロや楽天といった企業で導入されていますが、今後も導入していく企業は増えていくと思われます。
「採用の早期化」「通年採用」、現在の新卒採用の流れを見ていくと「秋採用」といった言葉は次第に薄れていくと思います。
と言うよりも冒頭でお伝えしたように「予定していた人数が採用できていない」「良い人材が確保できていない」といった理由で内定式以降も補完的に採用を行うという、昔からあった採用方法のイメージアップを図る意味で「秋採用」と位置付けるようになるのではないでしょうか。
通年採用と採用長期化は全く別物
昔に比べると少なくなってきてはいますが「当社は大手と同じ時期に採用活動しても不利だから、時期をずらして後半に採用活動する」といった中小企業もあります。
当然のことながら、優秀な学生は早い時期に内定をもらっていますから、後半まで就活をしない学生がほとんどです。
良い人材を採用するのは難しい時期の採用を自ら選択して行っているというわけです。
ここでいう「優秀」とは上位校を指す訳ではありません。
新卒採用で「残りものに福がある」はなかなかあり得ないと思います。
以前「新卒採用は長期戦だと覚悟しています。秋採用とかではなく、毎年夏はもちろんのこと、10月〜12月にも会社説明会・面接を行っています。
まあ、通年採用みたいなものですよ」と笑いながら話す企業の新卒採用のコンサルをさせていただいたことがあります。
確かに中堅・中小企業にとって、新卒採用は長期化傾向にあることは確かです。
しかし、長期化を前提に採用戦略を立てるのは間違いだと思います。
ましてや通年採用と同じ意識でいるのは大きな勘違いです。
通年採用は明確な戦略の下にやるべき時期にやるべきことをやって、多様な人材を採用していこうとするものです。
上記の企業に対し、私はまず新卒採用に対する意識改革から始め、やるべきことを誰がいつやるのかを明確にしたスケジュールを立てて新卒採用を行い、結果、見事に夏で採用活動を終えることができました。
当然、例年当たり前のように行っていた10月以降の採用活動は実施しなくて済む結果となりました。
今後、優秀な学生の取り合いはさらに激しくなっていくでしょう。
そうした中で自社に合った良い人材を確保するためには、しっかりした採用戦略を立てて他社に後れをとらないように採用活動を進めることが重要なのです。
大手企業やライバル企業ではなく、自社に学生を振り向かせるためには、インターンシップなどを始め、自社をより魅力的に伝えるためのさまざまな工夫が必要です。
「言うは易し、行うは難し」、大変なことも多々あります。
しかし、それを確実に実践し、乗り越えていくことが、自社に合った「優秀な新卒採用」への一番の近道だと思います。
私も貴社の新卒採用のために貴社に合った採用戦略を考えていきたいと思います。
以上、何かのご参考になれば幸いです。
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