今年も6月1日に新卒採用の選考が解禁され、採用活動本番を迎えました。
しかし、売り手市場の中、学生も強気で就職活動をしているようです。
「どうせ大手から内定をもらえるのだから大手だけを受けます」(2017年6月2日 日本経済新聞朝刊)という記事を目にした人も多いのではないでしょうか。
しかし、その大手も内々定出しを例年より早めたり、初任給をアップするなど、学生への配慮に注力しています。
正直言いまして、抱えている問題は違えど、多くの企業が新卒採用に苦戦しています。
そんな中、「なかなか採用予定数を確保できない」といった中堅中小企業のTOPの声を多く耳にします。
今回は2018採用に向けて、これから出来ることは何かについて考えていきたいと思います。
売り手市場で大手も危機感
今年は昨年よりも更に売り手市場だと言われています。
そうした状況は事前から予測されており、大手企業もインターンシップはもちろん、会社説明会より前に就職セミナー的なイベントや母校のOBとのマッチングを行うなど、学生との接触機会を早める動きを強めていました。
また、6月1日に選考が解禁となりましたが、優秀な学生、欲しい学生には6月1日に訪問してくれたら即内々定出しをして確保を図るなど、例年よりも一層早い対応をしてきているのが実情です。
大手企業でもこういった危機感を持って採用活動を進めている状況ですので、中堅中小企業がより厳しいのは残念ながら誰の目にも明らかです。
リクルートワークス研究所の調べによると、従業員300人未満の企業では2018年3月卒の求人総数が前年比3.9%増えたのに対し、従業員300人未満の企業に就職希望する学生の数はなんと前年比33%も減っています。
冒頭に書いた日経新聞の記事の通り、大手企業に採用される可能性が高いので、大手企業しか受けないという学生が増えているのです。
こうした話を中堅中小企業のTOPと話をすると中には「うちは昔から大手企業の採用が落ち着いた頃から、大手落ちの学生を狙った採用活動をしている。大手と同じ時期に張り合っても勝ち目はないし、このやり方の方が労力も少なくて済むからね」と言う方もいます。
しかし、それで優秀な学生、その企業が本当に求めている学生が採用できているかは正直言って疑問です。
少しでも自社が求める人材を採用するためには、早期からしっかりと採用活動を行うことが基本であり、早期からの採用活動ノウハウを取得することが重要だと思います。
大手落ちの学生は思っているほど存在しない
大手落ちの学生を狙うというのは、一つの手法ですので、悪いことではありません。
しかし、一昔前とは違って、中堅中小企業の採用意欲も相当に高まっている今、大手に落ちたからあらためて、一から就職活動を始めるという学生自体が少ないのが実情です。
中堅中小企業も優秀な新卒の人材を確保するために早期から採用活動を行っていますので、第一志望の大手企業を受ける前に興味のある中堅中小企業を訪問、受験する学生も多くいます。
大手企業を受ける前の練習という意味合いも否定出来ませんが、興味のある中堅中小企業からまずは内定を得ておくことが、いざという時(大手落ちした時)のお守りになっています。
つまり、大手に落ちたら、既に内定をもらっている中堅中小企業に行くという学生が多いため、大手を落ちてから就職活動を一から再スタートさせる学生は昔と違って少なくなっている訳です。
だからこそ、早期から採用活動を行うことが、とても重要なのです。
とは言え「採用予定数に達していない」「一人でも多く優秀な学生を採用したい」といった理由などで、多くの中堅中小企業が採用活動を継続しています。
では、大手企業の採用が落ち着こうとしている今、2018採用に向けて、これから何が出来るのでしょうか。
内定承諾率を高めるのは簡単ではない
就活メディアを扱っている営業担当の方などは「内定承諾率をもっと高めるために内定フォローを強化しましょう」と言うかもしれません。
しかし、実際問題、大手企業の結果が出なければ、どんなに頑張ってもなかなか内定承諾をもらえないのが実情です。
内定承諾率を高めるのはそんなに簡単なことではありません。
前述したように内定者承諾率アップはなかなか難しいことですが、大手の結果に関わらず、なんとか前中半(6月中旬頃まで)で自社の採用目標数の70%の確保を目指したいところです。
そして残りの30%を後半で採用していくといった戦略を考えるべきだと思います。
そのためにまず出来ることとして、大学のキャリアセンターに行くことをお勧めします。
なぜなら帰国子女などを紹介してもらえる可能性があるからです。
ご存じのように海外の大学に留学している学生は向こうのスケジュールの関係で日本の就活スケジュールに乗ることが出来ない学生も結構いますのでそういった学生が今後、キャリアセンターの門を叩く可能性があるためです。
(でもそんなにたくさんの学生がいる訳ではありません)
その他として入社1年目の社員に後輩を紹介してもらう、内定者にまだ就職活動をしている友人を紹介してもらうといった方法もあります。
また、これからナビ等でエントリーをしてきた学生に即、電話orメールをし、個別対応で接触するという方法もあります。
個別に日程を設定して、会社説明会だけではなく、会社見学等も絡めると効果的だと思います。
就業経験が無い学生にとって、「社風の良さ」は会社を選ぶための重要なファクターになりますので、普段の実際の職場を見せることで、会社の雰囲気をリアルに感じてもらい、それによって学生の自社への理解度も上がり、リアルに感じることができたという安心感から自社への印象をアップさせることが出来ます。
その他、新卒人材紹介という方法もありますが、成功フィーとして、1人当たり100万円近いお金がかかるケースが大半ですので、高額ということもあり、学生に対する目線が上がって、この時期なのに採用基準が前半よりも高くなってしまい、結果、採用出来ないといったことも散見されます。
本来は時期的に見て、採用目標数を達成するためにやや妥協してでも採用するぐらいのつもりで採用活動を行っているのにこれでは本末転倒になってしまいます。
売り手市場の中、後半の各種採用手法はなかなか効果に結びつかないのが実情です。
そうした点を打開するために手前味噌になりますが、当社のようなコンサル会社に相談するというのも一つの方法です。
コンサル会社は業界問わず、採用全般についての知識やデータがあり、それに基づいたさまざまな手法を知っています。
自社では今までやっていなかった採用手法が実は他業界、他社では当たり前の手法であり、その採用手法が成功しているといったケースもあります。
そうした手法を自社向きに改善して、取り入れていくことで、採用が飛躍的に上手くいったり、今まで見えていなかった問題点が見えてきたりするものです。
「これからの採用に向けて、やれることはすべてやる」といった気持ちを持って、後半の採用活動に臨んでもらえればと思います。
以上、何かのご参考になれば幸いです。
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